牧場長から

東京大学農学部附属牧場は畜産学の教育・研究拠点として昭和24年に設置されました。現在では東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場(高等動物教育研究センター)として、獣医学あるいは応用動物科学やその他の領域を含め産業動物や飼料に関する教育・実習・研究の場として広く利用されています。牧場の総面積は約36haあり、馬、牛、豚、山羊などの資源動物の飼育生産を行うと共に、これらの動物を活用した研究や新たな飼養管理法の開発などが実施されています。私たちの食に欠かせない畜産物は、「生き物」を「食べ物」に変換する過程を経て、はじめて乳・肉類として私たちの手元に届けられるものです。第二次世界大戦後から食の欧米化が大きく進みました。乳・肉類の需要拡大に伴い、畜産分野の産出額はわが国の農林水産業における30%を占めるようになっています。このように発展してきたわが国の畜産ですが、様々な問題に直面していることも事実です。こうした処問題の解決に取り組み持続可能な畜産を推進するために貢献していくこと、そして産業動物の獣医師を育成する重要な施設として教育を充実していくことも附属牧場の使命であると考えています。

牧場長(兼任・獣医衛生学研究室・教授)
桑原 正貴